大好きだから大丈夫

最初で最後の婚外恋愛(ただいま遠距離)

指輪と、結婚線

彼のことが好きで、好きで

毎週末のように嫉妬に苦しんでいる私


そんな私なのに、彼の結婚指輪を気にしたことがない


気にしなくていいんだと私に思わせる、あることがあったから



彼と再会した頃、私は、結婚指輪をしていなかった


その何年も前に、失くしてしまっていて

新しい物を買おうという話を夫婦でしたことは、一度もなかった


20数年ぶりに彼と再会した日、彼の左手薬指には、結婚指輪がキラキラ光っていた



再会したその日

結婚指輪の話になった


「なくしちゃったんだよね」

と、左手を見せて言った後

「もしあなたがくれたら『自分で買った』と言って、ずっとつけとくけどな」

と、半分は冗談、半分は本気で言った


すると、すかさず

「サイズ、どんな感じ?」

と、彼は自分の結婚指輪を外して、ためらいもなく、私の左手薬指にはめた


私も、なんの抵抗もせず、その指輪がはめられた手を眺めていた



昔から、本当にお互いに遠慮がない彼と私は、なんだか、どこか兄妹みたいな感覚のところがあるのかもしれない



次に会った時、彼は少し意識したのか、指輪を外していたけれど、私は、正直そんなの全然気にしていなかった


急いで会いに来てくれる時や、仕事帰りなんかだと、彼はいつも指輪をしたままだったけど、私は気にするどころか、手を繋ぐ時には、ずっと彼の指輪を、自分の指先でなでていた


それで気づいた彼が、あわてて外そうとしても、私が「外さなくていい」といつも言うので、外さないでいることの方が多かった



彼が、私ではない誰かと、永遠の愛を誓った証のはずのその指輪を、あんなにためらいなく私にはめた


そのことがあったから

気にすることのないものなんだ、って思ってしまったのかもしれない



でも、たとえば、彼のお財布とキーケース


多分、多分だけど、彼の奥さんが好きなんだろうな、と思う、レディースブランドのメンズラインの物なので、ずっと気になっているし、ずっとすごくイヤだと思っている


彼に一度

「もらったの?一緒に買いに行ったの?ペアなの?」

と聞いてみたけど、彼は

「買った」

としか言わなくて、なんとなく濁され、実は今もずっと気にしているし、できることなら変えてほしいくらい

本当に、すごくイヤだと思っている


それなのに、指輪だけは、不思議なくらい気にならない




今、私の左手の薬指には、指輪がある

とても、結婚指輪とは思えないような、ゴツゴツしたシルバーの指輪

私が好きなもののモチーフが指にまとったような形の、私がずっと前から欲しかった指輪


前の私の誕生日の、ちょうど1ヶ月後、彼がプレゼントしてくれた


彼がケースから出して、私の指にはめてくれる時

両手のひらを下向きにして、指を広げて彼の前に出して

「どの指にはめたい?」

と聞くと

「この指〜」

と、迷わず左手の薬指にはめてくれた





彼と再会してすぐの頃


彼の左手と私の左手、全く同じ位置に全く同じ長さで、いちばん長い結婚線がのびているのを発見した


手相なんて、全く知識もないけれど


中心より少しだけ小指寄りで、ちょうど今の私達の年齢くらいなんじゃないか、と、都合良く勝手に解釈したりしていた





半年ほど前、彼とのすごく些細なことで私がパニックになってしまったことがあった

こんな状態もう無理だと思った彼は、もう別れた方がいい、と心の中でほぼ決めていて、多分、別れる為に私に話す言葉も、ちゃんと用意していた

その話を私にする為に

「別れるにしてもちゃんと会って話そう」

と彼が言ってくれたおかげで、すごく長い時間お互いを見つめ合って話ができたおかげで、結局ふたりともどうしても別れられないんだということがわかり、それ以前よりお互いの気持ちが強くなった


その時、彼が用意していた言葉は、それを私に伝えているうちに、自分の気持ちと矛盾していることに気づいた、と言っていた


そんなことがあった


やっぱり別れられない、という結論になった後、こんな会話をした


彼「やっぱり俺達、別れられないな

こんなケンカや言い合いを、これからもずーっとしていくんだろうな

俺達って、昔、なんかで繋がってたのかな」

私「それは、前世だとか、そういうこと?

それなら、私はあなたの妹だった気がする」

彼「兄妹だったらこんなに愛し合わないだろう、エッチもできないし」

私「兄妹くらい、強い絆のふたりが、また会えたってことだよ」

彼「兄妹だったから、前世では愛し合えなかったから、今はこんなにも気持ちが大爆発しちゃうのか」

私「残念ながら、結婚はまたできなかったけどね、だけど、ほら」


と、彼の左手の上に私の左手を重ねて、結婚線を確認した



こうやって、彼と私は時々ふたりで、結婚線の確認をして、幸せな気持ちになる





私の左手の薬指に指輪をはめた後

「結婚しよう」

とは言えないから、代わりに彼は

「これからも、笑って、仲良くやりましょう」

と言ってくれて、やっぱりその時も、ふたりで結婚線の確認をして、とても幸せな気持ちになった