大好きだから大丈夫

最初で最後の婚外恋愛(ただいま遠距離)

短髪好き

20数年前、彼と私が出会った頃

私は腰近くまであるロングヘアだった


彼と出会って2カ月くらいの頃

まだ彼と仲良くなる前

当時の故郷の恋人の好みで、ばっさり、ショートヘアにした

恋人の好み、ということは彼には言ったことないと思う


「あれ?なんで切っちゃったんだろう」

って、その頃の彼は思ってたらしい


彼と仲良くなった頃には、私はもうショートヘアだった

デートするようになってからも、そしてお別れするまで、ずっと短いままだった



そして、20年以上経って彼と再会した日

私の髪は、また長かった


その、腰近くまである髪を見て

「俺、ずっと、短髪好きを公言してるなぁ」

と、彼が言った

「お前の短髪が好きだったからかな、あの後、俺はずっと短髪好き、うちのかみさんは長いんだけどね」

彼がそう言ってくれて、すごくうれしかった



彼と再会して、3度目に会う日の直前、私は髪を切った


彼のために


そして、それを彼にはじめて見てもらったのが、ちょうど1年前の今日だった


彼のお部屋に入ると、玄関から大きな声で

「あっちむいて!こっち見ちゃダメ!」

と言い、

「はいは〜い」

と背中を見せている彼にゆっくり近づいて、彼の背中に手が届くところまで近寄ってから

「いいよ〜」

と言うと、彼がクルッとこっちを向いて


ショートヘアになった私を見て

「うわぁ、やっぱり似合うなぁ」

と言って、彼はすごく喜んでくれた

ぎゅっと私を抱きしめてくれるけど、すぐに腕をゆるめては私の顔を見て

「似合ってるよ、かわいいよ」

そう言って、また抱きしめてくれて


そんなのを何度も繰り返して、とてもうれしそうにしてくれてた



それからは、今もずっとショートヘア



彼は酔った時、必ず

「髪を切ったのは俺のためだよね」

「ごめんな」

と言う

私を見つめて、せつない顔をして


うれしいのに、私は

彼のものなんだって思えるから



遠距離になる直前、その日も酔っていた彼は

「髪は?どうするの?ずっと短いまま?」

と、またせつない顔で私に聞いた

「伸びたら切るよ、短いの私も好きだから」

と言うと

「お前の好きなようにしていいよ」


なんだか

「もうずっと会えなくなるから」

と言われたようで、さみしかった


彼の気持ちは聞かなかったけど、どんな気持ちで言ったんだろう



毎日

朝起こしてあげることも

食事を作ってあげることも

「おかえり」を言ってあげることも

何もしてあげられない


遠く離れて「元気でいてね」と、ただ祈り、ただ恋しく想うだけ


だから、髪を切る

また会える日のために

彼のために


彼が好きな短髪になると、私もうれしい

彼のものになれた気がするから